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POIBOYというマッチングアプリがある。
僕もやっている人の画面を見たことあるだけで、そんな詳しくはないが簡単に説明すると
女の子の画面に、沢山の男性の写真が表示される。気に入った容姿の人が居たら「ポイ」って書いてあるボタンを押す。
男はとりあえず最初に出来ることはほとんどない。待つのみ。「ポイ」されたらスタート。その女の子にメッセージを送ることが出来る。
女性から好意(外見の)を抱いた場合のみメールになるので、メッセージの返信率が高いらしい。そういうアプリ。
↑あの記事でオモコロ杯を受賞した2ヶ月後、稲田に会った。(もし上の記事を読んでいない場合、そちらから読んだほうがいいです!)
稲田の話はあの記事以上書かないようにしてたんだけど(僕はあれより良い稲田を書けないので。蛇足に感じそうでしたらここで閉じましょう)
まあブログだし、そんなみんな見ないから良いだろと思ったので書きます。
稲田くんとルイさんのおかげで取れたような賞なので、2人にはご飯をご馳走することになっていた。
2人には公開前に記事を送ったが、怒られることも無くよく笑ってくれて、何故か職場の人に拡散するなどして楽しんでくれた。いい奴らだなと思った。
ルイさんからNGが出た為2人同時には会えなかったので、ルイさんとの食事は事前に済ませておいた。
ルイさんとは地鶏の焼鳥を食べに行ったが、稲田とは節約のため宅飲みにした。
アンパンマンとも別れ、ルイさんを諦めた稲田は、マッチングアプリに手を出していた。
POIBOYは昨日始めたらしく、彼の中で熱を持っているようだった。
「結構ポイされるんだよ!」
「よかったじゃん」
「使った写真は友達に撮ってもらった最高の1枚」
「会った時どうすんの」
「いやいや女側だってSNOWとかプリクラだからお互い様ですよ」
「まあそんな写真と違くないから大丈夫か」
「万が一揉めても、その時はその時だよ! 中身重視の人もいるし」
「そのアプリには絶対いない」
稲田は今年中に彼女を作ると息巻いていた。
相変わらず出会いは無いようだった。
「その、稲田にポイした人見せてよ」
「えー……いやー……」
「なに」
「いやなんかさ、ポイはされるんだけど、なんか」
「ああ」
「好みの子からはポイされないんだよね。ルイさんみたいなのから来ればすぐメールするんだけど」
「そんなもんだろ」
「俺は今年中に絶対彼女を作る。で、夏までは理想を追い求めたいんだよね。秋からは現実的に作りに行くから、こう、そのへんのお手頃な人とか行けばいいんだけど、夏までは理想のさ、完全に満足できる彼女じゃないと嫌なんだよね」
ああ、何も変わっていない。最高。懐かしい。
本当に自分のことしか考えてない。夜行バスで消灯した瞬間に納豆巻を食べ出す男だ。
なんだそのへんのお手頃な人って。いないからアプリやってんだろ。
その日は稲田の家でそんな話をしながら、ちょっとボードゲームとかをして遊んだ。
翌日は2人でゴルフの練習に行くことになっていたので、アラームをセットして眠りに就いた。
翌朝 7時
「オイイイイイ!!」
稲田の、銀魂の映画を見た女性みたいな奇声が響く。
アラームセットした意味もなく、不機嫌に目覚める。
「……なに」
「み、みてくれ!」
稲田はPOIBOYの画面を見せてきた、どうやら寝ている間にポイされたらしい。そんなことで奇声をあげるな。
画面にはギャルっぽい女の子が写っていた。
「ル、ルイさんに似てない?」
言われてみればちょっと似ていた。
「あーたしかに! 雰囲気近いな」
「だよな! やべー! やったー! キター!」
こいつの理想はルイさんだったのか、まだ盲目なのか。まあでも、もうルイさんは無理だからこっちにいくのはいいかもしれない。ポイしてるってことは見た目がタイプ寄りということだろうし。
「やったじゃん」
「おう! うわー最初なんて送ろうかな、もう夏だけど『寒くなってきましたね』から入るとかどうかな」
「そういうのが一番ヤバいんだよ」
稲田はスマホに釘付けになっているので、勝手にスティックタイプのコーヒーを2杯淹れた。
昨日買ってた菓子パンを食べながら、ゆっくりと脳を起こす。
「返信来たよイィィィ!」
テンションがすごく高い。不死鳥みたいな喋り方になってた。
まあでも良かったななんて思いながらボーっとTVを眺めていたら、稲田が急に黙り込んだ。
「……おかしい、変だ」
何かブツブツつぶやいていた。
「どうした?」
「返信も早いし、何かメールもいい感じなんだよ」
「いいじゃん」
「……おかしい、俺にそんな事、普通はあり得ない」
「なに」
「お前、この子、仕込んだだろ!」
いや知らない知らない知らないよ。なんだそれ。
なんだそのクソネガティブな危機察知は。
「知らないよPOIBOY自体知らないんだから」
「嘘だ! またブログに書く気だろ!」
「知らないよ。書かないよ」
「罠だ絶対、お前の罠だ、俺はこの子いかないからな!」
「いや好みなら勿体無いよ本当に俺関係ないんだから」
「うわおかしいそんな引き止めてくるなんて、絶対仕込みだ!」
「よく考えろよ無理だろ数時間でルイさん似のギャル用意するの」
「いやお前は記事とかの為にそのくらいやる!」
「何だと思ってるんだよ、無理だよ」
「いや絶対怪しい、名前も”ほむ”だし!」
「名前がなんなんだよ」
「ほむは、ホームだろ! ルイさんと合わせて野球に関連する名前で……」
「発想力すごいなあ!」
「……でもお前の仕込みだとしても、可愛いからいくか!」
「なんなんだよ」
そうして、メールしてデートして、音信不通になったそうです。
もうすぐ夏が終わりますので、その辺のお手頃な方はご注意下さい。
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