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僕には浜田という部下がいる
彼はものすごく仕事が出来ない
浜田は歳上なので、僕も気を使いながら教えたりするが、ダメっぷりは想像を遥かに超えてくる
業務上、エラーが出てしまったお客様のメールアドレスを口頭で伺うことが、たまにある
。
ただ、
「ティー」と「ピー」や
「ケー」と「エー」など、
似ているものが多く、口頭でそのまま聞くだけだと当然ミスが出る。
なので、パスポートなんかの時もそうだが、身近な英単語で確認するという手法が一般的だ。
「PrintのPですね?」
「AmericaのAでよろしいですか?」
という具合で、正直、誰でも出来る業務である。
ある日社長から勅命が届き、僕は大変な資料を帰るまでに作らなきゃいけなかった
残業したくないので、急ピッチで進めていたが少し難航していた
その影響で、自分でやる予定だったメアドのヒアリングを浜田に任せた
浜田の席は目の前なので、電話をしていると声が聞こえてくる
僕は自分の業務に集中していたのだが、浜田の甲高い声は嫌でも耳に入る
「cはカフェラテのcですね? iはアイスコーヒーのiでよろしいですか? hはホットコーヒーのhで、ありがとうございます」
なんなの? コーヒー好きなの?
別にいいかと思って放置してたのだが
「スルーのSですね? え?スルーはT? Tですね?ここでTと……」
ちゃんと聞けてないんだろうなってわかってしまった
ミスしてしまったら電話で聞く意味がない
オリジナルのやり方は向いてないのかもしれない。僕は浜田に指示を出した
「土地の名前でやってくれ」
AmericaのAとか、KyotoのKとか、これであればミスは起きにくい
浜田は元気よく了承し、業務を続ける
甲高い声がオフィス中に響き渡る
「Cは、中国のCでよろしいですか?」
中国のC……?
…Chinaじゃなくて?
まさかChugoku…?
まさかアルファベットを聞くのに向き不向きが合ったとは
その後も「シカゴのSですね?」とか言ってた。Chicago!馴染みの無い土地を使うからだ!
とにかく、これでは全く意味がない
僕は仕事を中断し、エクセルでアルファベット表を作成し「絶対これで聞け、他の単語を使うな」と言って浜田に渡した。
部下が増えると業務効率が上がるよって話を思い出しながら渡した。
その表には、「T」は「Tシャツ」など、間違えそうにない単語を選んで書いた
「X」は思いつかなかったから「Xbox」って書いたけど、まあエックスは他の文字と聞き間違えないだろう
これで一安心だ
もし今後部下が増えてもこの表は使えるし、まあいいかと思った
でも安心なんて、いつだってしたらいけない
斜め上を行く出来事は、安心から起こるのだ
「ティーはTシャツのTでよろしいですか? え? P? Pシャツ……!?」
Tシャツに引っ張られすぎだ
着るの辛そうだな
資料は終わらなかった
部下になった経緯はこちらです
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